認知症の症状の中で周辺症状と呼ばれる症状が出ている時には家族の方は本当に大変です。
周辺症状にはアリセプト、レミニールなどの中核薬が使われたたり、漢方や抗精神病薬が使われることがあります。
その中でエビリファイ®️(アリピプラゾール)と名称の抗精神病薬が使われることがあります。
怒りっぽくなったり、興奮しやすくなったりした時に使われる薬ですが、一体どんな薬かご存知ですか?
今回は認知症で使われる抗精神病薬のエビリファイの効果、副作用などを解説します。
認知症で使われるエビリファイとは?
2006年に大塚製薬から販売された抗精神病薬で販売名がエビリファイ®️、商品名がアリピプラゾールという薬になります。
以前よりあるコントミンなどの抗精神病薬(定型)と違い、新規の抗精神病薬(非定型)と呼ばれる新しい部類の薬です。
統合失調症、双極性障害における躁症状の改善、うつ病・うつ状態(既存治療で十分な効果が認められない場合に限る、小児期の自閉スペクトラム症に伴う易刺激性の4つの状態に適応がある薬です。
脳内の神経伝達物質であるドパミンを阻害することで効果を発揮する薬です。ただし他の薬と違ってドパミンが減少しすぎた場合には、ドパミンを増やす効果もあり、セロトニンを増やす役目もあります。
少し作用が違うことから以前の古い抗精神病薬に比べると副作用の頻度が少なく、さらにリスパダール、セロクエルなどの新規抗精神病薬に比べても比較的ゆっくり作用することで副作用が少ないと報告されています。
通常は精神科で使われる薬であり、認知症の方にはあまり投与されない薬です。ただし投与する適応はないのですが、認知症の症状でどうしても困ったりした時には処方されることがあります。
エビリファイですが、認知症の人の中で周辺症状が出た場合に使用されることがあります。周辺症状としては怒りっぽくなったり、攻撃性が強くなったり、周囲の介護者に暴力を振るったり、興奮したりするような陽性症状がみられた時にしばしば使われるます。
またイライラしたり、何か落ち着かない、そわそわしたりする時にも使用されることがあります。
このエビリファイですが、抗精神病薬のためその名前を聞くと本当に大丈夫なのか心配です。
ただ以前からあるコントミンなどの定型抗精神病薬やリスパダール、セロクエルなどの非定型抗精神病薬に比べると比較的に副作用が少なく、認知症の人でも飲みやすいと報告されています。
エビリファイの副作用は?
薬のため頻度は少ないながらも副作用の可能性はあります。
抗精神病薬のためどうしても中枢神経系の活動を抑制するため傾眠などの副作用を念頭に入れておく必要があります。ただ他の薬に比べると鎮静作用は弱いため、傾眠などの副作用は少ないとはいわれています。
ただ若干鎮静作用が弱いことからイライラ、うつ症状などの症状が悪化することもあり注意が必要です。
注意が必要なのは認知症の方に使用された場合には、高齢者の方が多いためどうしても副作用の頻度が上がる点です。
高齢者の場合には比較的安全といわれていても副作用が出やすいため注意が必要です。
認知症の人に処方された時の副作用としては、アカシジア、錐体外路兆候(振戦、歩行障害)、体重増加、不安や不眠、悪性高熱などの副作用が比較的目立つため注意が必要です。
特にアカシジアの副作用の頻度が高く、5%以上とされています。アカシジアとは静座不能症と呼ばれており、じっとして座っていることができない症状のことを言います。
足がムズムズしたり、不安や焦燥感がかられたりしてイライラして椅子の周りを歩き回ったりすることが出ます。認知症の人の場合、落ち着かない人はウロウロして、じっと座っていることができない人もいます。
ただし、エビリファイを飲んでている時には副作用にてこのような症状が出ている可能性があります。
飲みだしてから急に症状がでた場合には、副作用の可能性が強く、その場合には必ずすぐにかかりつけ医に相談してください。
また認知症の人の場合には錐体外路症状と呼ばれるパーキンソン様の症状が出ることがあります。他の抗精神病薬に比べると少ないとはいわれていますが、十分注意が必要です。歩行障害、振戦などが出ていないかは注意が必要です。
またこの薬体重増加が副作用としてあります。認知症の人の場合食欲が細い人の場合には関係ありませんが、糖尿病などの合併症を持っている方はその症状が急に悪化する可能性もあるため食行動には注意してください。
その他副作用はたくさんありますが、詳しい内容を知りたい方は添付文書から確認してください。
認知症の薬エビリファイで副作用が出た時の対処法
認知症の人の場合には、通常の人よりも副作用が出やすいと考えて対応することが望ましいでしょう。
もしも副作用が疑われた場合には、まずはすぐにかかりつけ医、もしくは認知症専門医に相談するようにしてください。
そして症状の変化をきちんと説明して、本人、家族にとってどのような状態が一番いいのか考えて、薬の調整を行なってもらいましょう。
基本的には減量、中止もしくは薬の変更してもらうことが副作用を改善させる方法です。ただし減量、中止に関して、急にやめたり、減量すると悪性高熱とよばれる恐ろしい副作用が出る事もあるためなるべく医師の指示を仰いでから症状を調整しましょう。
あと副作用がどしてもきになる場合には周辺症状の場合、薬だけでなく介護対応でも改善する場合があるためその点も頭に入れておくといいでしょう。
介護対応に困ったらこちらも参考にしてください。
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認知症の薬であるエビリファイ®️(アピプラゾール)について解説しました。副作用に関してしっかりと認識して、対応できるようにしましょう。