認知症の薬には様々な副作用がでることがあります。
その中でも傾眠になるといった副作用が出る場合があります。傾眠傾向になってしまうと家庭生活で色々な弊害がでてきます。
どんな薬で傾眠になるのか、そしてその時の対処法について今回は解説します。
傾眠とは?
傾眠という言葉をお聞きになったことはありますか?
高齢者や認知症の人は日中でもよくうとうとしてしまい、活気がなくなってしまうことがります。
傾眠という言葉の正確な意味としては、「周囲から何らかの刺激があれば覚醒するが、すぐに意識が朦朧として、混濁してしまうこと」を指します。
場所と時間がわからなくなり、直前の出来事の記憶がなくなったり、自発的な行動が少なくなり、寝たきりの生活になってしまう状態です。
つまり傾眠になってしまうと日中の行動が減少してしまい、行動範囲も狭くなってしまいます。
しかも寝たきりに近い状態となってしまうため、食事摂取の量も減ってしまい、筋力低下、栄養不足の状態になってしまいます。
また日中からこの状態になると転倒するリスクが非常に高くなり、骨折の原因にもなってしまいます。
こうなると認知症の症状も進行しやく、どんどん悪化してしまう恐れがあり傾眠には本当に注意が必要です。
ただ認知症の症状の悪化とともに出現したり、認知症の薬の副作用としても傾眠傾向になってしまうこともあるため、十分観察する必要があります。
どの認知症の薬で傾眠になるの?
認知症の薬には記憶や学習力を向上もしくは維持する目的に、アリセプトやレミニールなどのコリンエステラーゼ阻害薬が投与されることが多くあります。
この認知症の中核薬であるアリセプト、レミニール、リバスタッチ、イクセロンパッチは基本的には活気をだす方向の薬です。
しかし時として頻度は少ないのですが、傾眠がちになる副作用がでる場合があります。これらの薬で傾眠になる原因ははっきりわかっていませんが、起こりうることを頭に入れておくべきでしょう。
さらに周辺症状その中でも攻撃的になったり、興奮したり、怒りっぽくなったりした時には抗精神病薬などの薬が使われます。
また夜間の不眠などに対しても睡眠導入剤などが利用されます
この抗精神病薬や睡眠導入剤は脳内細胞に作用して、脳の活動を抑制する方向に働きます。
そのため高齢者や認知症の人はこれらの薬で傾眠といった副作用がよくでることがあり注意が必要です。
その他の薬にも頻度は少ないですが、傾眠傾向になる副作用が報告されています。だいたいが傾眠がでる頻度は1%以下ですが、抗精神病薬などはそれよりも多くでるため注意が必要です。
副作用で傾眠になった時に注意点と対処法
認知症の薬を飲み始めた直後から傾眠傾向になった場合には薬の副作用の可能性があります。
その場合にはまずはかかりつけ医、処方してくれた先生に相談をしっかりしましょう。その上で薬の減量、中止を相談してください。
アリセプトなどの中核薬で症状が出た場合には自己、もしくは家族の判断で中止してもあまり大きな問題は起こりにくいといわれています。
ただし抗精神病薬、抗うつ薬などは突然中断すると思いもよらぬ副作用がでるためこのような薬の場合は必ずかかりつけ医に相談しましょう。
だんだんと傾眠になった場合には認知症の症状の進行なのか薬の副作用なのかがはっきりしません。
まずは周囲の呼びかけや促し、介護保険の利用など外から刺激を与えてあげましょう。またもともと介護保険を利用していれば、施設やケアマネージャーなどにも相談して対処法を練りましょう。
またこの場合にもかかりつけ医にしっかりと相談して薬の変更や中止を相談することも必要です。
傾眠傾向になっている時には転倒がもっとも怖い合併症になります。
症状がでている時にはなるべく本人から目を離さないようにして、歩行時、起き上がり時に注意してあげください。
どうしても薬には副作用が出る場合があります。その中でも傾眠になると認知症の進行や怪我が心配になります。
症状が出た時にはすぐにかかりつけ、ケアマネージャーに相談できるような良好な関係を築いておくのも今後の支えになります。
傾眠になった時の対処法について解説しました。
認知症の進行を防ぐためにも症状でた時には早めに対処するようにしてください。