認知症の薬の中でアセチルコリンエステラーゼ阻害薬には不整脈の副作用の可能性があることをご存知でしょうか?
あまり頻度的には多いものではありませんが、命に関わる場合があり十分注意が必要です。
今回は認知症の薬と不整脈との関係、副作用がでた時の対処法について解説します。
認知症の薬と不整脈との関係とは?
認知症の薬には様々なものあります。
その中でも認知症の治療薬の中で中核薬とよばれるコリンエステラーゼ阻害薬があります。
アリセプト®(ドノペジル)、レミニール®(ガランタミン)、リバスタッチ/イクセロンパッチ®(リバスチグミン)の3種類がコリンエルでラーゼ阻害薬と呼ばれる薬になります。
アセチルコリンを分解する酵素を阻害することで脳内のアセチルコリンを増やすことで記憶や学習能力を改善させる作用があります。
このアセチルコリンですが、脳内以外にも神経伝達物質そて作用して他の症状を出すことがわかっています。
心臓にもアセチルコリンの情報を受け取るムスカリン受容体が存在しており、直接作用することで心臓の収縮力や心拍数を下げてしまうことがわかっています。
また末梢の血管にもアセチルコリンの情報を受け取る別のムスカリん受容体があり、血管に作用して血圧を下げしまう作用もあります。
またアセチルコリンが迷走神経を刺激することもわかっており、徐脈や不整脈を起こす可能性もあります。
もともと元気な方で特に病気の既往がない場合には問題ないのですが、心臓疾患、不整脈がある人や電解質異常がある方はアセチルコリンを増やす作用の薬でさらに症状が悪化する場合があり注意が必要です。
アリセプトなどを内服することで起こる主な不整脈の副作用としてはQT延長、心室頻拍、心室細動、洞不全症候群、高度徐脈などがでることが薬の説明書にも記載されています。
だいたい頻度としては0.1%から1%程度と少ないですが、もともと心疾患(心筋梗塞、心筋症、心臓弁膜症)などがある人は症状が出やすいため注意が必要になります。
認知症の治療としてアリセプトやレミニール、リバスタッチ/イクセロンパッチが始まり、もともと心疾患をお持ちの方は本人、家族ともに何か変な症状がないか確認する必要があります。
認知症の薬で不整脈などが出た時の対処法
認知症の薬で不整脈に対処する方法は、まず不整脈が出ないようにすることが大事です。
もともと心筋梗塞、心筋症、心臓弁膜症など指摘されており、治療を受けられている方は必ずその旨をかかりつけ医もしくは認知症治療にあたる医師に正確に伝えましょう。
あなたの病気の情報をしっかりと伝えることで治療などの点で医師も注意してくれるはずです。
かかりつけ医でももしかしたらそのことを忘れていることもあるため治療薬が処方される前に必ず自分の病気のことなどは報告しましょう。
そうすることで不整脈といった副作用の危険性が減るはずであり、これがまず最初の対処法になります。
内服しだしてからの注意点ですが、認知症の薬を飲むことで不整脈などの副作用がではじめた時には注意が必要です。
ただし本人が自覚できるようなものであればいいのですが、なかなか心臓や脈について素人の我々が簡単に気づくことはないと思います。
そのため内服が始まってからはしっかりとかかりつけ医の受診を続けて、経過を診てもうのが一番大事です。
本人、家族で気がつける点としては自宅などで血圧低かったり、立ちくらみが増えたり、胸部症状がでた場合にはアセチルコリンの作用が強く出ていることもあり、その時にはかかりつけ医としっかりと相談しましょう。
また何かおかしいなと思った時には薬をやめてみるの一つの方法です。ただし不整脈は死に関わる恐ろしい副作用になるためできるだけ自己判断することはやめましょう。
認知症の薬で不整脈などの副作用が出ることあり、十分注意する必要があります。