認知症にはいろいろな症状がでてきます。
一番多いのは物忘れ。
でも物忘れだけでなく、行動がおかしくなったり、幻覚、妄想、攻撃性が強くなったりする場合もあります。
興奮などの症状が出た時には、家族も大変になるためいろいろな薬が使用されますが、その中で最近セロクエル®(クエチアピン)が使用されることが多いようです。
いったいどんな薬のなのでしょうか?
薬の一般的な知識から効果、そして副作用について解説します。
セロクエルとはどんな薬?
セロクエル®(一般名:クエチアピン)は2001年より抗精神病薬(統合失調症の治療薬)として販売された薬です。
リスパダールと一緒で第二世代の抗精神病薬であり、新規抗精神病薬として利用されています。
セロクエルもドーパミン受容体に働き、脳の中でドーパミンの働きを抑える作用があります。
ただし他のものと比べるとドーパミンに影響する力が弱く、パーキンソン症状などの錐体外路兆候を出すことが少ないとされています。
非常に鎮静作用が強く、精神科での興奮、攻撃性にも効果を発揮する薬になっています。
また他の薬とは違ってドーパミン以外の様々な脳の中の受容体に作用することもわかっており、興奮などの強い症状だけでなく、うつや活気がなくなった時にも効果を発揮することがある薬です。
この薬自体は統合失調症に使用される薬ですが、認知症に対しても周辺症状で困った時には時々使われています。
主には認知症で興奮、幻覚が強くなったり、暴力行為、興奮などが出たり、夜間徘徊するなどの症状が見られた時に使われています。
夜間の不眠にも使われることがあり、一定の効果がある薬です。
このセロクエルですが抗精神病薬であり、簡単に処方される薬ではありません。
そのためこの薬が出るときにはある程度認知症の周辺症状が強いときにしか出ないと考えた方がいいでしょう。
リスパダールと同様の効果がありますが、若干セロクエルの方が穏やかな作用とされています。
このセロクエルにも副作用はあります。
主な副作用としては、不眠(19.3%)、神経過敏(17.8%)、傾眠(14.2%)、倦怠感(10.8%)、不安(10.6%)が報告されています。
抗精神病薬のため、上記以外の精神的な副作用が報告されています。内服時には精神的な変化には十分注意が必要です。
また高血糖の副作用の報告があり、そこから昏睡になり、死亡することもあるため、原則糖尿病を持っている人は飲めない薬になっています。
他にもパーキンソン症状、錐体外路兆候、悪性高熱などの副作用が報告されており十分注意が必要です。
ただしリスパダールに比べるとパーキンソン症状は出にくいとされており、歩行に影響しにくいとされています。
その他多くの副作用が報告されており、アリセプトなどの認知症薬とは違って内服時にはしっかりと観察する必要があります。
セロクエルを飲んで副作用が出た時の対処法
セロクエルを飲んで副作用がでた時には基本的には中止、もしくは減量するしかありません。
ただし急に中止すると悪性高熱といった副作用も出る可能性があり、家族や自己判断はやめて必ずかかりつけ医に相談しましょう。
新しい抗精神病薬ですが、やはり副作用の頻度が多い為十分気をつけてください。
ただもともと暴力、興奮が激しい時にセロクエルで大人しくなった場合に、効きすぎた時の対処が難しくなります。
家族にとっては興奮が減ることで介護での対処も楽になります。ただ一方本人は活気がなくなり、活動性が低下してしまう可能性があります。
家族がどの状態がいいのかかかりつけ医と十分相談してから薬の量を調整してもらいましょう。
セロクエルの内服で副作用がでたときには中止が望ましいため、まずは必ず医療機関を受診しましょう。