認知症にはs治療薬がありません。
そのため現在のところ進行を抑える薬しかなく、アリセプトやレミニール、リバスタッチなどの薬が使われています。
その中でもアリセプトは一番古い薬であり、日本の中では最も使用頻度の高い薬です。この薬うまく効果が出れば認知機能を維持してくれる作用があるのですが、副作用も多く報告されており、注意が必要です。
その中でもアリセプトを飲む事で興奮したり、攻撃性などの副作用が出たりすることが最近報告されています。
なぜアリセプトで攻撃性、興奮などの作用が出るのでしょうか?
アリセプトを飲んで興奮、攻撃性が出る理由
アリセプトは脳内の神経伝達物質であるアセチルコリンを増やす目的で作られた薬です。作用としてはアセチルコリンエステラーゼというアセチルコリンを分解する酵素を阻害して、脳内の量を増やします。
このアリセプトですが最近ではジェネリック薬も多く出されており、ドノペジル塩酸塩とも呼ばれており、認知症の初期から中等症の時期によく処方されます。
実際効果的に効けば認知機能が改善したり、活気が出たりしていい方向に働きます。ただし副作用の報告も多く、食欲低下、嘔吐などの消化器症状がでやすいことがわかっています。
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このアリセプトですが最近興奮したり、攻撃性などの副作用がでることが報告されています。
またyahoo知恵袋や教えてgooなどのQ&A質問サイトを調べたところ
・80歳女性 認知症にてアリセプト5mg内服中ですが、最近イライラすることが多くなっています。
・アリセプトを父親が飲んでいるのですが、最近徘徊をしたり、こちらのいうことを聞かなくなり、怒りっぽくなっています。
上記のような質問がポツポツとあり、興奮したり攻撃性で困っているご家族がいらっしゃいます。
アリセプトなどの中核薬と呼ばれる薬は脳内のアセチルコリンを増加させるためもともと興奮系に働く作用があります。そのため以前から怒りっぽい人、活動性の高かった人などはこの薬を飲むことで怒りっぽくなったり、興奮したり、さらにひどい場合には攻撃性まででてしまう可能性がある薬です。
良い薬ですが、薬の作用のため興奮、攻撃性などの副作用が出ることがあり注意が必要です。
またアルツハイマー型認知症、レビー小体型認知症には使用可能ですが、前頭側頭型認知症にはあまり効果がないとされており、使用できるようになっていません。
前頭側頭型認知症の場合には怒りっぽくなったり、興奮したりする症状がもともとあります。また初期の段階ではアルツハイマー型認知症と区別がつかずにアリセプトが処方されることもあります。そのため内服したことで輪をかけて悪化することもあります。
必ず興奮したり、攻撃性がでるわけではありませんがアリセプト内服時には十分注意が必要です。
アリセプトで興奮、攻撃性などの副作用が出た時の対処法
アリセプト内服で興奮したり、家族に対して攻撃性が出た時にはまずはかかりつけに相談しましょう。そして家庭での状況をしっかりと説明して、減量もしくは中止してもらいましょう。
アリセプトを継続すれば認知症が治るわけではありません。そのため本人、家族にとってよろしくない症状があるのであれば薬をやめることも一つの方法です。
決して認知症の薬を飲み続けなければいけないということはありません。どうしても興奮や攻撃性などがでて大変な時には薬をやめることも選択肢に入れてかかりつけ医に相談してください。
また興奮が激しくどうしようもない時には、抗精神病薬が処方されることがあります。ただしこのような薬はかなり作用が強く、逆に傾眠になったりして全く起きなくなってしまう危険性もあります。安易に薬で抑えるようにかかりつけ医に頼むのはやめましょう。
認知症の方へは薬だけでなく、介護の対応方法も重要です。
興奮、攻撃性などがでている時には、薬の副作用の可能性もありますが、ご家族の対応がその原因となっていることもあります。
そのためかかりつけ医に薬のことを相談しながらご家族の対応についても見直してもいいかもしれません。興奮している時に、対応がまずいと火に油を注いでしまいます。
興奮したり、攻撃性が強くなっている時にはそっとして、一人だけにしておいたり、構わないようにすれば自然に治ることもあります。
そのため本人が興奮している時に、どのようなパターンで対応すれば怒りがおさまりやすいかを知っておくことも重要です。
あともともと怒りっぽい人などはアリセプトをやめただけでは症状が治らないこともあります。このときどうしても困るようであればかかりつけ医に少し興奮を抑えるような薬を処方してもらうか、もしくは家庭以外の施設入所、病院に入院するなどの対応も考えたほうがいいでしょう。
アリセプト内服で興奮したり、攻撃性が出た時にはしっかりと本人の状態を確認して、かかりつけ医に相談するようにしましょう。