認知症になって困るとされているのは周辺症状と呼ばれる症状です。
怒りっぽくなったり、興奮したり、逆に活気がなくなり、全くやる気がなくなったりするような症状などが出てしまいます。
物忘れだけの症状だけでなく、このような周辺症状が出てしまうと家族が困ってしまいます。この周辺症状が出た時によく使われるのがリスパダール(リスペリドン)と呼ばれる薬になります。
この薬一体どんな薬で、どのような効果があり、さらに副作用がどんなものか気になります。今回はリスパダール(リスペリドン)の認知症への効果、副作用などについて解説します。
認知症の周辺症状とは?
認知症になると様々な症状がでてきます。症状の中には中核症状とよばれる認知機能障害、周辺症状とよばれる精神症状、行動障害の二つがメインとなります。
中核症状とは物忘れに代表される記憶障害や失語、視空間障害などをさし、認知機能の障害がメインとなります。
一方周辺症状とは幻覚、妄想、徘徊、興奮、不眠、うつ症状、意欲低下などの精神的な症状をいいます。周辺症状自体は認知症の個別の症状ではなく、記憶障害などからでてくる不安、寂しさなどが一因とされており、ある程度中核症状と関連しています。
周辺症状で最も多いのは物盗られ妄想であり、周囲の家族が一番標的にされてしまい、介護者はかなりのストレスになってしまいます。
周辺症状でリスパダールが処方される時とは?
周辺症状は精神的な症状のため中核症状に比べると周囲の家族、介護者にストレスがかかることが多くです。
その中でも認知症で興奮が強くなり、攻撃性が増したりして家族に危害を加えることがあります。さらには夜間に徘徊して、ウロウロしてしまい、介護者が夜ねれなくなってしまう。妄想、幻覚がひどく、周囲の人に危害を加えてしまうようなことも稀ですが起こります。
このような時にはなかなか介護の方法を変えるだけでは対処できないことが多く、家族、介護者共に疲弊してしまいます。
また興奮が強くなると本人も精神的ストレスが強くなり、怪我をしてしまう可能性もできます。
どうしても介護の対応も変えても無理な時にリスパダール®️(リスペリドン)が処方されます。認知症の症状、その中でも精神的なものである周辺症状がでた時に使われるものであり、一般的にすぐに処方される薬ではありません。
リスパダールの作用ですが、脳内のドーパミン受容体をブロックして鎮静作用を発揮する薬です。もともと統合失調症に使われる薬であり、幻覚、妄想を改善させる作用があります。さらに興奮、怒りっぽいなどの精神症状を和らげる作用もあり、もともと精神科領域に使用されていた薬です。
そのため認知症に初めから使用されるものではなく、周辺症状が悪化し、介護対応、既存の軽い薬で効果が出ない時に使用されています。
リスパダールの副作用とは?
リスパダールは副作用が出にくい第二世代の抗精神病薬とされています。ただ実際それでも脳内のドパーミンを遮断するため悪い症状も出てしまうことがあります。
副作用としてでやすいものとしては、
不眠症(4%)、振戦(3%)、便秘(3%)、傾眠(2、5%)、よだれが増える(2.5%)、筋固縮(2%)が報告されています。
特に認知症の人にでやすい副作用としては、傾眠がちになって日中寝てばかりいたり、反応が乏しくなることが最も多い副作用になります。
さらにドパーミン受容体を遮断するためパーキン症状がでやすく、小刻み歩行になったり、手の震えがでたり、姿勢異常がでる恐れがあります。このような症状がでてしまうと転倒する危険性が非常に高くなります。
リスパダールで副作用がでた時には?
リスパダールで傾眠、歩行障害などの副作用がでた時にはやはり減量もしくは中止が必要です。ただし抗精神病薬とされる部類の薬は突然の中断で副作用がでることがあり、必ず処方されたかかりつけ医と相談の上減量、中止する必要があります。
あとリスパダールの処方された量にも注意してくださ祭。
普通の統合失調症の患者さんが使う量を認知症の人に使用すると副作用がでる可能性が高くなります。そのためかかりつけ医に処方されたリスパダールの量には注意が必要です。だいたい0.5mg〜1mg程度くらいから処方され、使用されていますが、それよりも多い時には大丈夫かどうか医療機関もしくは薬剤師に確認しましょう。
家族の健康を守るのは家族自身であり、医者と薬はうまく付き合うようにしましょう。
認知症の周辺症状にリスパダールが使用されるときがあります。使用前には十分かかりつけと相談し、介護方法、その他の方法で改善できないかどうか確認しましょう。どうしても使用しないといけない状況時には副作用がでる可能性があるため十分注意してください。