認知症には中核薬と呼ばれる薬があり、現在4種類ほどあります。その中にコリンエステラーゼ阻害薬の1種類であるレミニール(ガランタミン)という薬があります。
この薬ですが、認知機能の改善、さらに他の効果も期待されている薬です。ただ効果ばかりでなく、副作用の報告もあり注意が必要です。
今回はレミニール(ガランタミン)の副作用について解説します。
レミニールとは一体どんな薬?
レミニール®︎(ガランタミン)ですが、2011年に新しいコリンエステラーゼ阻害薬として販売された薬です。ヤンセンファーマ株式会社から販売、武田薬品が一緒に併売している薬になります。
アルツハイマー型認知症の初期から中等度の患者に投与される薬であり、アリセプトよりも新しい薬になります。 レミニールもアリセプトと同様にアセチルコリンエステラーゼ阻害薬という薬です。
アセチルコリンの分解を阻害する事で脳内のアセチルコリンの量を増加させる作用があります。脳内のアセチルコリンがふえることで認知機能、学習能力、記憶能力を改善させる作用があります。
一般的には人間の脳内で、特に記憶に関わる部位ではアセチルコリンが神経伝達物質として利用されています。シナプスと呼ばれえる部位にある受容体という特別な部位を通過、結合する事で様々な情報を伝達しています。
認知症の中でもアルツハイマー型認知症の場合、脳内のアセチルコリンの濃度が低下しいることがわかっており、神経伝達物質の量が少ないことから情報伝達がうまくいかないと考えられています。 レミニールは減少したアセチルコリンの量を増やす事で効果を発揮します。
さらにレミニールはアリセプトと違い、アセチルコリンが通過する受容体にも作用することがわかっています。この作用により神経伝達物質が通りやすくなり、他の神経伝達物質の働きも強め、記憶以外の他の症状も改善させる作用があります。
レミニールの注意点と副作用とは?
レミニールですが、まずは注意点があります。
肝臓の悪い方はレミニール内服で肝機能障害が悪化する可能性があり、肝の病気を持っている人はかかりつけ医に必ず申告してください。
レミニールですが、消化器症状がでやすい薬のため、服用するときには必ず食後にとるようにしましょう。
またレミニールにはOD錠があります。口腔内で速やかに崩壊し、唾液のみで服用可能です。ただし口腔内粘膜からの吸収による効果発言は期待できないため、必ず崩壊後は唾液または水で飲み込む必要があります。
- 使用時にも注意が必要です。
- レミニールはアセチルコリンを増量させる作用があり、症状を誘発、悪化させる可能性があるため注意が必要です。
- ・もともと洞不全症候群、不整脈がある方は徐脈や不整脈を起こす可能性がある。
- ・消化器潰瘍、鎮痛剤、腸閉塞等の既往、消化管の手術を受けた方はレミニール内服で胃酸が多量に分泌されたり、消化管運動の促進によって悪化する可能性があります。
- ・もともと尿の出が悪い人、膀胱等の手術をしている人は症状が悪化する可能性があります。
- ・てんかんなど痙攣を起こす病気を持っている人、もしくは既往があった場合には薬でてんかん発作が誘発される可能性があります。
- ・喘息、肺の病気がある人は、症状が悪化する可能性があります。
- ・パーキンソン病、パーキンソン症候群と診断されている人はレミニールを内服することで運動症状が悪化する可能性があります。
- 以上のような注意点があるためレミニール内服時には必ず確認するようにしましょう。
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レミニールの副作用
レミニールですが、軽度及び中等度のアルツハイマー型認知症患者を対象に実施された国内臨床試験において、744例中431例(57.9%)に副作用が認められました。
その中でも最多かったのが消化器症状であり、悪心111例(14.9%)、嘔吐92例(12.4%)、食欲不振62例(8.3%)、下痢46例(6.2%)、食欲減退40例(5.4%)でした。そのためレミニール内服開始後から消化器症状がでた場合には副作用の可能性が高くなるため注意してください。
また消化器症状以外には頭痛の副作用の頻度も高く報告されています。
そのほか重大な副作用として、失神、徐脈、不整脈などが1%程度で報告されています。皮膚炎、肝炎も報告されています。
頻度は少ないですが、その他にも副作用が出る可能性があります。さらに詳しく知りたい方はこちらの添付文章から確認してください。
レミニール錠4mg/ レミニール錠8mg/ レミニール錠12mg/ レミニールOD錠4mg/ レミニールOD錠8mg/ レミニールOD錠12mg/ レミニール内用液4mg/mL
認知症の薬であるレミニールですが、効果以外にも副作用が出る可能性があります。
十分注意して、何か変化がでたときには必ずかかりつけ医もしくは認知症の専門医に相談するようにしてください。