私が小学校の時の体験です。
幼いながらも曽祖母の症状にいつも困っていました。
今は認知症という病気として注目されていますが、曽祖母が認知症になった時には歳になればみんななるものだと思っていました。
本当に周りの家族は大変だったし、小さい頃は曽祖母を恨んでいました。
私たち家族の認知症介護の体験ではこちらです。
曽祖母は痴呆症?
私が、小学校5年生のときでした。
私には曽祖母がいたのですが、少しずつぼけていきました。
元気な頃は電話にしっかりと対応できていました。でも段々と電話での対応ができなかったり、さっき食べたばかりのお菓子を忘れてしまうなどのことが増えていきました。
私が小学生の頃だと認知症という言葉も聞き慣れていない時でした。
曽祖母の時代は「ぼけた」とか「痴呆症」だという言葉で表現されていて私たちは病気とすらも思ってもいませんでした。
私が帰った時に楽しみにしていたお菓子がなかったりすると、お菓子のゴミが曽祖母のゴミ箱に捨てられていました。
「食べたでしょ?」と質問しても「食べてないよ!」と嘘をつく曽祖母が許せませんでした。
でも今考えると嘘ではなく、「覚えていなかった」んでしょう。
少しずつ少しずつ進行していく曽祖母の認知症に最初は気づかず、ボケていってしまう曽祖母を段々嫌いになっていきました。
曽祖母の介護は大変!介護は人を頼ることが大事?
だんだんと認知症が進行していく曽祖母を介護していたのは、私の祖母と母でした。
認知症が進行していくとトイレに間に合わなかったりすることがよく見られるようになっていました。さらに進行するとトイレが出来なかったりすることもありました。
食べたものを忘れてしまうので余計な食べ物は隠したり、一人で外出させないように玄関の鍵は必須でした。
認知症の症状がひどくなってからは祖母がいつもそばについていました。
昼夜逆転がひどくなった時には、祖母や母が交代で一緒に起きていたりそばで寝たこともありました。
認知症が進行したせいなのかは、わかりませんが、年齢的にも運動能力も衰え、段差に引っかかって転倒してしまうことや、頭をぶつけてしまうことなども増えていきました。
情緒も不安定になりだしたときは、私も、祖祖母とのケンカが絶えず、怒鳴りあったりすることもありました。
自宅で過ごしていた時はトイレやお風呂が一番困った事だったと思います。
トイレはオムツがあればなんとかできましたが、お風呂が本当に大変でした。
お風呂は一人では入らせることが出来ないので最初のうちは介護用の椅子を購入し、祖母と母が付き添いながら入浴介助を行っていました。
ただ家も古く、お風呂は段差を越えなければ入浴できないため、毎日行うのは体力的にも厳しかったようです。
通院していた病院の院長先生のご厚意もあり、近くの特別養護老人ホームのデイサービスを1週間に2〜3日ほど利用していました。
入浴はデイサービスで行っていただけるようにもなりました。
デイサービスを利用することで、家族の介護負担も減り、本人も環境が変わることで、明るさを取り戻していったように感じていました。
病院がきちんと提携しているデイサービスを利用できたこともあり、歩行訓練や、定期的な診療もしていただけました。
ケアやリハビリが充実していたおかげもあり、本人もしっかりと体を動かして帰宅するため寝付きが良く、表情が明るかったりと良いことがたくさんありました。
今思えば認知症の介護には人の手が必要であり、介護保険が非常に役立ちました。
ただ症状が進むとともに歩行がどんどん悪くなりました。
歩行が悪化した影響でかなりひどく転倒してしまい、骨折で入院することになりました。
病院に入院してからは身体の衰弱進み、体を動かせなくなり認知症もどんどん進んでしまいました。
私が中学3年生の頃に曽祖母が入院しました。
私は入院をきっかけに看護師さんの対応や介護方法をみて、曽祖母が認知症という病気であることを深く理解しました。
遅かったかもしれませんが、認知症がどんなに大変でどんなに家族の負担となってしまう病気であるか、また、本人がどれだけ苦しいかがその時ようやくわかったような気がしました。
家族全員で支えられたら、
安全なバリアフリーの家だったら、
本人にとって穏やかに過ごせるような環境だったら、
すべてがそろっていたら認知症を在宅で介護できたのかもしれません。
ただ私たち家族はしっかりと認知症の人を専門で見てくれる介護士さんがいるデイサービスや施設を利用できました。
曽祖母本人も楽しかっただろうし、家族も安心できました。
認知症は、人それぞれ症状も進行具合も違うと思います。
家族だからこそ受け入れられないこともあったし、家族だからこそ頑張りすぎてしまうこともありました。
だからこそ無理をせず、近くの福祉センターやデイサービスなどの介護サービスや施設の利用をすること。
そしてケアマネージャー、介護職員さんに十分に相談に乗っていただくことが認知症の介護では大事なのではと今は思います。