アリセプト®(ドノペジル塩酸塩)は認知症の治療薬として古くから使われている薬です。
いろいろな副作用が報告されていますが、幻覚といった症状が急に現れたり、増悪するといったことが起こることもあります。
今回は幻覚についてとアリセプトの副作用で症状がでた時の対処法について解説します。
幻覚とは?
認知症になると物忘れや行動障害などさまざまな症状がでてきます。
いろいろな症状がでる中で、認知症にも幻覚といった症状がでることをご存知でしょうか?
実は認知症の薬の副作用でなくても幻覚は認知症の経過に症状としてでることがあります。
幻覚とは実際に存在しないものを五感で感じることをいいますが、特に視覚的に感じる幻視と音から感じる幻聴がよくみられることがります。
どの認知症にも幻覚を起こす可能性はありますが、その中でもレビー小体型認知症に頻度が多いことがわかっています。
幻覚の中でも幻視が多く、見知らぬ人や子供などが見えたり、亡くなった人が見えたり、動物、虫なども見えたりすることがあります。
幻覚は、加齢に伴う視力の低下、聴力の低下、認知症による認識能力や視覚認識能力の低下が原因で起こります。
また認知症になってから不安症状が強くなることでも幻覚症状が見えることがもあります。
幻覚だけならいいのですが、見えたものが間違いであることがわからず、本物であると信じていまい妄想につながってしまうこともあります。
妄想状態になるとその種類によっては周囲の人に迷惑をかけることもあるため幻覚症状には注意が必要です。
認知症から起こる幻覚などの症状に対しては、アリセプトが使用され研究でその効果もわかっており、実際の治療に使用されています。
ただし薬の副作用として幻覚がでる可能性も報告されており、注意が必要です。
アリセプトで幻覚がでる理由ははっきりしていませんが、0.1%〜1%の頻度で起こることが報告されています。
アリセプトで幻覚症状がでた場合の対処法
先ほどもあげたようにアリセプトを飲むことで幻覚がでる可能性があります。
まずは薬の飲み始めや増量時に急に幻覚症状がでた場合には、薬の副作用が強く疑われるためかかりつけ医に相談して減量、もしくは中止してもらいましょう。
幻覚が急にでてきた場合であれば副作用の可能性が高く中止すればいいのですが、薬を飲みだしてからだんだんとでてきたり、薬を飲み続きていたが数年経ってから幻覚がでた場合には薬の副作用か症状の進行かがはっきり判断できません。
その場合には幻覚が他人に危害を加えるようなものでなければ、まずは介護対応で対処しましょう。
介護対応とは、まず幻覚がみえたことを否定しないようにすることです。否定されると余計不安になり、さらに幻覚が悪化することが多いため、受け流す気持ちで傾聴してあげましょう。
そこで幻覚を否定したり、怒ったりすると本人の不安が強くなります。家族に見えていなくても話を合わせることが大事です。
そして幻覚に対して、大丈夫であることを伝え、安心させてあげましょう。
例えば家の中で人が見えたとしても「もう帰られましたよ」などと声をかけてあげれば安心します。
本人を安心させることで幻覚症状が軽くなったり、消失することがあるので一つの方法としてトライしてみてください。
あとは家の中に物が多いと幻視が見えやすくなると言われており、なるべく部屋をシンプルにすることも幻覚をなくす方法です。
また幻視の場合には部屋を明るくすることも対処法となりますし、幻聴の場合もなるべく静かな環境にすれば聞こえにくくなります。
以上のような周りからの対応で改善しないか試してみて、経過をみてみましょう。
それでも幻覚がおさまらない場合にはアリセプトが原因の場合もあり、減量もしくは中止してもらうようにかかりつけ医と相談しましょう。
また最近では幻覚を抑えるための薬もあり、あまりにひどく本人、周りかが困っているようであればかかりつけ医に相談して、薬を処方してもらいましょう。
アリセプトが原因で幻覚がでることがあり、注意が必要です。
認知症の薬で副作用がでているようならかかりつけ医に必ず相談しましょう。